湘南ベルマーレサッカースクール、子どもの自立を実感できる場所
湘南ベルマーレは神奈川県内の17会場でサッカースクールを開き、ホームタウンの子どもたちを対象に、楽しくサッカーができる環境を提供している。
今回は神奈川県平塚市の馬入校を訪問し、U-12統括兼U-12スカウトの西村真介さんと普及コーチの土屋圭悟さんにスクールの特徴について伺った。
インタビュー1 西村真介さん ベルマーレフットボールアカデミー U-12統括 兼 U-12スカウト
「地域に根付いていて、いろんなところで応援されているクラブ」
――西村さんがベルマーレで働くようになったきっかけを教えていただけますか?
指導者ライセンスの講習会で一緒だった知り合いがベルマーレでコーチをしていて、連絡をもらったのがきっかけです。もちろんベルマーレのことは知っていましたし、面白そうなチームだなという印象を持っていたので、スタッフの方とお会いして、2013年2月にこちらに来ることになりました。
――実際に来てみて新しい発見はありましたか?
ベルマーレはサッカー以外でもスポーツの普及に取り組んでいますし、地域に根付いていて、いろんなところで応援されているクラブなんだなと感じました。
――西村さんの担当はU-12統括とU-12スカウトですね。
はい。ベルマーレのサッカースクールにはどなたでも入会いただける「ベーシッククラス」をはじめ、セレクションを受けて入る「スーパークラス」と「強化特待クラス」があるので、神奈川県内のいろんな地域に足を運んで、そういったクラスやジュニアユースに入れるような選手を探しています。
――ということは土日もお忙しそうですね。
土日はスカウト活動がメインで、小学生の試合や練習を見に行きます。火曜日から金曜日まではサッカースクールの事務的な仕事をして、スクールの現場に出るのは水曜日と金曜日。それ以外の曜日はコーチの管理業務やクラブから発信する情報の準備、あとはミーティングを開いていろんなことを決めています。1日の流れは10時か11時ぐらいに平塚の事務所に出勤して、メールの処理やミーティングをして、夕方から現場に出ていますね。
――土日の行動範囲はかなり広そうですね。
そうですね。神奈川県内を中心に小学生の試合を見に行くので行動範囲は広いです。公式戦、練習試合、招待試合……スケジュールさえ合えば見に行きますね。
「コーチをできるだけ早く始めたほうがいいと思って切り替えました」
――西村さんがサッカーを始めたきっかけは?
小学校1年生の時に近所のお兄ちゃんがサッカーチームに入っていたのがきっかけです。中学生の時は地元のクラブチームで3年間プレーしました。
――高校でもサッカーを?
はい。当時その高校は埼玉でベスト16とかベスト8に入っていて、自分たちの力でもっと強くできないかと小・中学校のチームメートと話していたんです。2年生の時に県大会のベスト8まで進んで、今のNACK5スタジアム大宮、当時の大宮公園サッカー場で試合に出ることができました。
――高校卒業後もサッカーを続けたのでしょうか?
大学でも続けようと思っていたんですけど、自分でプレーすることの面白さを急に感じなくなってしまって。プロのサッカー選手になれなかったらコーチになりたいと小さい頃から思っていたので、プロになる夢を追うのはそこで終わりにして、コーチをできるだけ早く始めたほうがいいと思って切り替えました。自分が関わった子どもの中からプロのサッカー選手が出てくれたらいいなと。19歳の時に、中学時代のコーチが指導している中学生のチームを手伝うようになりました。
――すぐにチームが見つかったんですね。
そうですね。その後、狭山市にあるサッカースクールでコーチのアルバイトをしました。フットサルコートで開催しているサッカースクールだったので、コートの運営にも携わることができたのは良かったです。
「スタジアムに行くと子どもたちや保護者の方から声を掛けられる」
――新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて、湘南ベルマーレサッカースクールにはどのような影響がありましたか?
2月末から5月末までスクール活動を停止して、6月から再開できましたけど、休止していた期間は子どもたちのプレーする場がなくなってしまいました。3月や4月は「サッカースクールに入会したい」、「ベルマーレでサッカーを始めたい」と思ってくださる方が多い時期なので、例年に比べると入会者の数が少なくなりました。
――それは馬入校だけでなく他の会場も。
ホームタウン内にある17会場すべての活動を休止したので、同じような状況でした。それでも「無料の体験に参加できますか?」とか「いつから再開できますか?」といったお問い合わせを多数いただいて、我々としてもそのような声に応えたかったので、再開できて良かったなと思っています。
――これまで地域の子どもたちと接してきてうれしかったのはどんな時ですか?
やはり「サッカーがうまくなりました」という声をいただけるとうれしいです。ただ、それだけではなくて、サッカーを通じて子どもたちの自立を促して、「自分で率先してサッカーの準備をするようになりました」とか「スクールに行く前の日からボールやウェアを自分で準備するようになりました」という声もうれしいですね。
――サッカーを通じて成長していくんですね。
そうですね。あとは、お子さんがサッカースクールに入ったことがきっかけでベルマーレが好きになって、トップチームの試合を一緒に見に行くようになる保護者の方もいらっしゃいます。ベルマーレのファミリーが増えていることを実感できてうれしいですね。
――西村さんはJリーグの試合会場に行く機会はありますか?
よくスタジアムで試合を見ています。スタジアムに行くとスクールで指導している子どもたちや保護者の方から声を掛けられることがありますし、何年も前に小学校を卒業した子どもたちや保護者の方と久しぶりに再会することもありますね。今はここでサッカーをしていなくても、ベルマーレをずっと応援してくれて、気にかけてくれているのはすごくうれしいです。仕事にやりがいを感じますし、続けていくことの意味があるなと思っています。
――スタジアムという再会できる場所があるのはいいですね。
そうですね。幼稚園児や小学生のスクールからトップチームまでがつながっているのはベルマーレのいいところだと思います。私がベルマーレに来た時に小学校6年生だった子どもは、もう高校を卒業しました。
――それでは今後の抱負をお願いします。
これからもスクールに入った子どもたちが「楽しかった」とか「うまくなった」と感じられるようにしていきたいですし、子どもたちには小学校を卒業するまで続けてほしいですね。あとは、スクールからジュニアユース、ユース、トップチームと上がっていく夢を一人でも多くの子どもたちにかなえてほしいです。もし上がれなかったとしても、ベルマーレをずっと応援し続けてもらえるとうれしいですね。
インタビュー2 土屋圭悟さん ベルマーレフットボールアカデミー 普及コーチ
「うまくなりたいと思っている子どもが多く集まっている」
――土屋さんは湘南ベルマーレサッカースクール馬入校のご担当ということで、まずは馬入校の特徴について教えていただけますか?
他の会場ですとサッカーを純粋に楽しみたいという子どもが多いんですけど、ここはどちらかというと、うまくなりたいと思っている子どもが多く集まっている印象を受けるので、上達するスピードも早いかもしれませんね。
――馬入校に通わせたいという熱心な保護者の方もいらっしゃいそうですね。
そうですね。馬入校の場合は通ってくださっている方のお住まいの地域もばらばらです。
――必ずしも家から近い会場を選んでいるわけではないと。
中には小田原のほうから通ってくださっている方もいらっしゃいます。
――馬入校でサッカーをしていると、ジュニアユースの練習を間近に見ることができますね。
時間帯はずれていても、幼稚園児・小学生から中学生まで同じ人工芝のグラウンドを使っているので、スクールが終わればジュニアユースの練習を見ることができますし、あのチームでサッカーができたらなと感じるでしょうね。
――そういえば、ユースの選手たちもここを利用していると伺いました。
以前は産業能率大学のグラウンドを使っていたんですけど、今は使えなくなってしまって、こちらで練習をしています。ジュニアユースの選手たちはユースの練習を見ることができるので、刺激になっていると思います。
「ベルマーレはすごく身近に感じていたクラブ」
――1日の仕事の流れはどんな感じでしょうか?
午前中は「巡回」といって小学校や幼稚園、保育園でサッカーを教える予定が入っていることが多いですね。昼頃に事務所に戻ってきて、スクールの準備や土日のイベントの企画を進めて、小学校の授業が終わる時間帯からスクール活動に入ります。1週間のうち火曜日から日曜日までそのような流れです。
――土屋さんが担当している学年は?
曜日によって担当している学年や会場が異なります。火曜日は馬入、水曜日は厚木市の及川、木曜日も馬入、金曜日は湘南台、土曜日は鎌倉、いろんな場所でスクールを担当しています。
――ホームタウンの広さを実感できそうですね。
他のクラブに比べてホームタウンが広いですし、そのぶんスクール会場も多くて、広範囲にわたって応援してくださっている方がいらっしゃる印象を持っています。
――土屋さんは齊藤未月選手や石原広教選手と同じ藤沢FC出身だそうですね。当時の思い出はありますか?
僕が小学校6年生の頃に二人が1年生で、彼らが小さい頃からよく一緒にサッカーをしていました。僕が小学生の頃はベルマーレの試合をスタジアムまで見に行きましたし、ベルマーレはすごく身近に感じていたクラブでしたね。
――当時の指導者から教わったことで今も生かしていることは?
小学生の頃はすごく楽しんでサッカーをやらせてもらった記憶がありますし、やっぱり幼稚園児や小学生にとっては、サッカーを始めるスタートなので、子どもたちにはとにかく楽しんでもらえたらなといつも思っています。
「子どもたちにとって外で動けるのはうれしいこと」
――コーチをしていてうれしい時はどんな時ですか?
子ども自身がうまくなったと実感してくれたらうれしいです。スクールとは別のチームに所属している子どもが「試合でいいプレーができたよ」とか「このまえ試合に勝てたよ」って報告してくれるのもうれしいですね。
――新型コロナウイルスの影響で、子どもたちは一時期、外で遊びづらい状況になっていました。最近は子どもたちの様子を見ていてどんなことを感じますか?
やっぱり子どもたちにとって外で動けるのはうれしいことなのかなと感じています。スクールを再開した後に子どもたちが楽しそうにサッカーをしている姿を見て、やっぱりこの環境はすごく大事なんだなとあらためて実感させられましたね。保護者の方も同じように思ってくださっていて、「サッカーができる場所を提供してもらえるのはすごくありがたい」という言葉をいただきました。
――それでは最後に今後の抱負をお願いします。
子どもたちにはサッカーを楽しんでほしいですし、子どもたちが夢をかなえられるように後押しできればなと思っています。
お問い合わせ 湘南ベルマーレサッカースクール